これまでに、H/Vスペクトル比が周期1s前後で最大値を示す地盤では、表層部にS波速度が小さい層が厚く存在する可能性が高いことを示しました。これを、全K-NET観測点でのデータを用い検証しました。
K-NETの各観測点では、震源が半径100km以内に存在する地震のうち、マグニチュードが大きい上位20個の地震を選び、それぞれで得られた加速度時刻歴データについてH/Vスペクトル比を求めました。 求め方は、Technical Report 14に示したとおりです。 次に、周期1sにおけるH/Vスペクトル比の値(A1)を求め、20個の地震での平均値を算定しました。 H/Vスペクトル比の最大値を示す周期が1sに近いほど、A1の値は大きくなります。 これを下表に示す5段階で色分けし、地図上でK-NETの各観測点の位置に○印で表示しました。
結果を見ると、沖積層が厚く分布する地域などでA1の値が大きくなっており、A1が表層部の地盤の性状を表す指標となり得ることがわかります。
色 | A1の値 |
---|---|
2.0未満 | |
2.0~3.0 | |
3.0~4.0 | |
4.0~5.0 | |
5.0以上 |
(以下の出典)K-NET:国立研究開発法人防災科学技術研究所の全国強震観測網
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Geo-Seismo Technical Report 14H/Vスペクトル比による地盤の性状評価(2) |