HOME技術情報>距離減衰式を用いた大地震時の揺れの推定

Geo-Seismo Technical Report 01

距離減衰式を用いた大地震時の揺れの推定

→PDF

1 概要

Geo-Stickで計測されたデータを用いた構造物の診断サービスでは、Geo-Stickが設置された「計測ポイント」での、想定震源断層による地震時の最大加速度などを推定します(特許第5791680号)。

2 距離減衰式を用いた推定

中小地震時のたびに、Geo-Stickが設置された構造物と震源との距離、および地震のマグニチュードより、距離減衰式1)(下図)を用いて理論最大加速度を求めます。 距離減衰式は、これまでに観測された多数の地震データからの回帰式で、構造物位置での良好な地盤上での、平均的な最大加速度を与えます。

ここに、Aは最大加速度(gal)、Dは断層の深さ(m)、Mはマグニチュードです。Xは断層最短距離(m)ですが、ここでは震源距離でも代用できるものとします。

この理論最大加速度を横軸、Geo-Stickで計測された最大加速度を縦軸として相関図上にプロットするとともに、原点を通る回帰直線と、その傾きを表す倍率Bを求めます。 地震時には、Geo-Stickが設置された計測ポイントにおいて、理論最大加速度に倍率を乗じた値が計測されると推定できます。

構造物がある地域で震源断層が想定されていれば、これと構造物位置との最短距離と想定マグニチュードより理論最大加速度Aを求め、これに先の倍率を乗ずる(A×B)ことで、Geo-Stickが設置された計測ポイントにおける、想定震源断層による地震時の最大加速度の推定値を求めます2)

(参考文献)
1)司宏俊,翠川三郎:断層タイプ及び地盤条件を考慮した最大加速度・最大速度の距離減衰式,日本建築学会構造系論文集,第523号,1999,pp.63-70.
2)里優,鶴岡大和:距離減衰式と実測加速度を用いた想定地震時における加速度の推定方法,第14回日本地震工学シンポジウム,2014.