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Geo-Seismo Technical Report 02

理論最大加速度と計測最大加速度の相関

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1 概要

診断サービスで行う想定震源断層による地震時の最大加速度などの推定では、理論最大加速度と計測最大加速度の相関が前提となっています。これを、K-NETのデータで検証しました。

2 相関図の作成と倍率の算定

Geo-Stickで計測されたデータを用いた構造物の診断サービスでは、Geo-Stickが設置された「計測ポイント」での、想定震源断層による地震時の最大加速度などを推定します。 これに用いるため、地震時に計測ポイントで得られた最大加速度と、距離減衰式を用いて算定された理論最大加速度の相関図を作成した上で、理論最大加速度に対する計測最大加速度の倍率を求めます。

実際に、理論最大加速度と計測最大加速度との間に相関があるのかを、防災科学技術研究所のK-NET(全国強震観測網)のデータを用いて検討しました。 K-NETでは、自由地盤上に設置された地震計で計測が行われています。このうち幾つかの地点を選び、これらをGeo-Stickを設置した計測ポイントと仮定し、計測された強震記録について、理論最大加速度と計測最大加速度との相関図を描きました。 ただし、震源距離が200km以下の強震記録を抽出しました。 最大加速度、震源距離、マグニチュードは、K-NETよりダウンロードしたデータをもとに算定しました。

具体的には、次のような手順により相関図を描くとともに倍率を求めました。

  1. 選定したK-NETの計測地点で、地震ごとに得られた最大加速度を計測最大加速度とします。
  2. 次に、震源の深さDi>、マグニチュードMより、距離減衰式を用いて計測地点での最大加速度を求め理論最大加速度とします。 距離減衰式には、下式に示した司、翠川1)の回帰式を用います。 式中のXは断層最短距離ですが、震源距離(計測地点と震源との距離)で代用します。 また、マグニチュードは気象庁マグニチュードを用いることとしました。
  3. 理論最大加速度を横軸に、計測最大加速度を縦軸にして、得られた値をグラフ上にプロットします。
  4. 抽出した地震全てに対しこの操作を繰り返し、相関図を得ます。
  5. 原点を通る直線回帰式により、理論最大加速度に対する計測最大加速度の倍率を求めます。

選定した4つの地点について、作業の結果得られた相関図と回帰式および決定係数R2(相関係数の二乗に相当)を下図に示します。 それぞれの地点において、ばらつきはあるものの理論最大加速度と計測最大加速度には良い相関が認められます。 また、回帰直線の傾きを表す倍率はそれぞれの地点で大きく異なっています。 この違いは、主として計測地点の表層地盤の振動特性によるものと考えます。

(参考文献)
1)司宏俊,翠川三郎:断層タイプ及び地盤条件を考慮した最大加速度・最大速度の距離減衰式,日本建築学会構造系論文集,第523号,1999,pp.63-70.