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Geo-Seismo Technical Report 05

建物の各階における最大層間変形角を概算

1 概要

建物の各階にGeo-Stickが設置されている場合に、計測値から各階における最大層間変形角を概算する方法を検討しました。 各階の剛性や重量が同じであり、減衰が無く、各階で最大加速度が同時に同方向に生じたことを前提とする理論値です。

2 多質点系モデルによる最大層間変形角の概算

3階建の建物を考えます。 これを減衰の無い3質点系でモデル化した場合には、各階の質量をmi>、層間の剛性をki>、各階の変形をxi>、各階で計測された加速度をai>として、次のような運動方程式が得られます。

ここで、と近似できると仮定すると、各層間の固有周期をT()として各式は次のようになります。

これらより、各階の層間変形として次式が得られます。

このように、各階の層間変形はそれより上の階で求めたの値を合算した値となります。 これは、各階の剛性と重量が同じと見なした場合には何階建てでも成立することから、n階建てのl階における層間変形δlの概算値が次のように求まります。

また、各階の階高をHとして層間変形角θlは次式となります。aiとして各階で計測された最大加速度を用いることで、各階の最大層間変形角の概算値が得られます。

1階あたりの固有周期Tは、建物全体の(1次の)固有周期Tpより推定することとします。 剛性と重量が同じの多質点系モデルで計算してみると、建物の階数が増えると建物全体の固有周期Tpは、下図のように(1階あたりの固有周期×階数n)の約70%に漸近することがわかります。 このことから、Tpを階数nで除して、さらに0.7で除せば、1階あたりの固有周期の推定値が求まります。

建物全体の固有周期Tpは、最上階と最下階に設置したGeo-Stickで計測された加速度時刻歴データを用い求められた、スペクトル比の最大値を与える周期を用います。

このように、建物に設置したGeo-Stickの計測データから最大層間変形角の概算値を得ることができます。 建物の全ての階にGeo-Stickが設置されていない場合は、設置されていない階の最大加速度aの値を、上下の階の値から補間や外挿により推定し、式(11)より概算値を求めます。