多質点系モデルによる建物の最大層間変形角の概算方法の妥当性を、同じ質点系のモデルによる数値解析結果と比較し検証しました。 解析には、株式会社ストラクチャーがフリーソフトウェアとして公開している「かんたん振動解析ver.1.0.0.1」 を用いました。。
多質点系モデルによる最大層間変形角の推定方法では、各階で計測された最大加速度をa、各階の固有周期をT、各階の高さをHとして、n階建てのl階における最大層間変形角θlの概算値を次のように求めます。
1階あたりの固有周期Tは、建物全体の(1次の)固有周期Tpより推定することとします。
解析では、7階建ての建物を想定した弾性質点系モデルを用い、各階の重量wを7,000kN、階高を4m、剛性kを3,000kN/mmとしました。 建物全体の固有周期Tpは0.464sであり、1階あたりの推定固有周期Tは0.095sとなります。 このモデルへの入力地震動として、神戸海洋気象台で兵庫県南部地震時に計測されたNS方向の加速度時刻歴(最大加速度817.8gal)と、El Centro地震で計測されたNS方向の加速度時刻歴(最大加速度341.7gal)を用いました。 なお、剛性比例減衰を5%加えています。解析によって得られた加速度を各階での計測値と見なし、これと固有周期Tから式(1)により推定値を求めました。
解析結果を下図に示します。用いた解析モデルでは最大加速度が生じる時刻がほぼ等しいこともあり、解析結果と推定結果に良い一致が見られています。
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