加速度時刻歴データより求められたフーリエ振幅スペクトルについて、最上階と1階の比(スペクトル比)を求めてみると、地震動の大きさや周波数特性に左右されない、建物の固有周期が推定できます。
下図に、4階建RC造の建物の1階において、2種類の地震で記録された加速度時刻歴を示します。一つ目は加速度が大きく継続時間が短いもので、二つ目は加速度が小さく継続時間が長いものです。
これら2種類の地震について、1階と4階天井でのフーリエ振幅スペクトルと、この比(4階/1階)を取ったスペクトル比を裏面に示します。なお、スペクトル比はフーリエ振幅スペクトルをparzen窓関数(0.4Hz)で平滑化したもので割り算をして求めています。
スペクトル比のグラフの形状やピーク値は、加速度時刻歴の形状にかかわらずほぼ同じであり、建物固有の特性を表していると考えられます。このピーク値を示す周期は、建物の固有周期とみなすことができます。
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Geo-Seismo Technical Report 21ランニングスペクトルが表す震動中の特性変化 |